8Dフォーム
8Dはフォードが開発した手法で、問題解決を8つのフェーズを通して行うものです。第二次世界大戦中に米軍が
軍用規格として採用しました。問題解決への組織的アプローチと継続的改善は、あらゆる管理システムの鍵となる
要素です。8Dは、問題を解決するため8段階の手順からなります。目的は問題を構造化することで、問題が発生
した根本的な管理システムの弱点を発見し、解決することです。8段階の手順は次の通りです。
(1)D1:チームの結成
最初に問題を解決するために必要なチームを結成します。チーム構成は、問題解決に貢献できる有能な人
だけを選任します。チームの構成は、責任者、リーダー及びメンバーからなり、以降のステップにおいて
担当を割り当てます。また、効果的なチームは、通常は少数精鋭です。
(2)D2:問題の整理
問題に対応するためには事実確認が極めて重要です。問題に関する情報を集め、理解するのが簡単になる
ように事実関係を整理する必要があります。また、仮説や推測は区別されなければなりません。完全な問題の
整理は、チームに問題を解決する方向性を示し、問題に対する優先順位をつけるのを手伝います。例えば、
不具合品が顧客にすでに送られたという事実は、不具合品に対するアクションが最優先と判断されます。
問題解決は、事実に基づいた分析により達成されます。その為に、事実と推測を区別する必要が有ります。
多くの失敗は、大物の意見により、勘や経験に基づいて行動することが原因となっています。
(3)D3:応急処置の実施
このステップは、問題解決を行う前の応急処置となります。応急処置は、問題の根本原因を追究し、恒久
対策を打つまでの緊急避難処置となります。応急処置は、不具合品の流出防止と不具合品の発生防止を行いま
す。不具合品の流出防止は、トレーサビリティ(対象製品、ロットaA日付など)により、対象製品を特定し、アク
ションの結果を記録として残す必要があります。発生防止については、対象の製品や材料ロット、機械などを
使用しないなどの処置が必要となります。
(4)D4:原因の特定
再発防止のために根本原因を発見しなければなりません。根本原因の発見には、事実に基づいた分析が重要
です。事実に基づき、仮説を立て、その仮説が正しいか検証を行っていく必要が有ります。根本原因は、他の
要因に隠され発見するのが難しい場合が多くあります。根本原因の発見のため、なぜなぜ解析やQC7つ道具
などその問題に適した方法を用いることが有効となります。原因の特定までの解析記録を残して置くことが
重要となります。
(5)D5:是正処置の選択と実施
このステップでは、現在問題となっている特定の現象に集中し、慎重に実施する必要が有ります。是正処置
のゴールは、根本原因を取り除くことにより、問題の再発防止を図ることで、ステップ4で特定した原因全て
に対して実施します。是正処置は、実施する前に影響を評価する必要が有ります。望ましくは変更管理ルール
に則り実施するのが良いでしょう。少なくとも考えられる影響について、記録として残しておく必要が有りま
す。また、実施に関して、責任者と計画を決めて置く必要が有ります。
(6)D6: 是正処置の結果(是正処置が正しく実行されているかも確認)
このステップでは、D5で実施した是正処置により、根本原因が取り除けたかを確認します。根本原因が
完全に取り除かれなかった場合には、原因を追究する必要が有ります。原因には、是正処置が正しく実行され
なかったことも含みます。是正処置の選択が不適切であると判断した場合は、D4に戻って原因から追究し
なおすことも必要です。是正処置により根本原因を取り除けたことを確認できた場合は、D3の応急処置を
解除します。
(7)D7: 再発防止
このステップでは、特定の現象だけでなく、類似の潜在的な問題にたいしての根本原因も取り除くことが
ゴールとなります。これは、同じ商品での他の問題や同じプロセスで発生している他の問題が、同じ根本原因
により発生していることがあり、根本原因の解消により、類似の潜在的な問題の発生を防止することが出来ま
す。このスッテプでは、マネジメントシステムの改善が必要であり文書の改訂が伴います。
(8)D8: 振り返り
このステップでは一連の是正活動について、次回の是正活動に活かすため、メンバーで良かった点や反省
すべき点を挙げ改善を行うことで是正活動を活性化します。また、メンバーの教育や貢献度を評価することも
期待できます。