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用語の解説Glossary

経済学の10大原理

 経済学と会計学の違いについては、いくつもの議論がすでにありますが、最初に経済学があり会計学は経済学から
 波及した学問であるのは間違いなさそうです。経済学を最初に学ぶほうが会計学も取り付き易くなると考えます。
 マンキュー博士の経済学の10大原理は経済学のエッセンスですのでご紹介します。
1.経済学の10大原理
 (1)人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している。
     自分が何かを得ようした場合は、別の何かを手放さなければなりません。一つの目標と別の目標の間にトレー
     ドオフ
を必要とします。
     一番簡単な例は買い物です。通常は買い物について予算があり、何かを買えば他の何かにお金を使うことが
     出来なくなります。仕事でいえば、時間の制約、予算の制約、機械の制約など様々な制約がある中で、どの仕
     事を優先するかを意志決定しなけばなりません。
その判断のためにも明確な目標が必要となります。
 (2)あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である。
     人々がトレードオフに直面している以上、意志決定にあたっては、様々な行動の費用と便益を比較する必要が
     あります。この概念について、経済学と会計学の違いがあります。
     例として、休日にUSJに行くとします。全ての費用が1万円掛ったとした場合、会計学では1万円の費用が
     計上されます。ところが、経済学では別の見方をします。例えば、休日出勤の要請を断ってUSJに行った場
     合を想定します。休日出勤で1万円収入が得られる場合、USJの費用1万円と休日出勤で得られたはずの収
     入1万円を足した2万円がUSJに行くために費やした費用となります。
     (厳密にいえば、USJに行かなくても食事代は発生するので費用から引く必要はあります。)
     休日出勤で得られたはずの収入1万円を、機会費用と言います。
 (3)合理的な人々は限界的な部分で考える。
     限界とは、端の部分を示し、限界的な変化とは行動計画に対する微調整を言います。
     例として、携帯型ゲームを考えます。ゲームを1時間の予定で行うとすると、1時間後にスパッとやめるか
     もう少し続けるか意志決定があります。この意志決定の部分が限界的な変化です。たいていの場合は、睡眠
     時間を削るかゲームを続けるかのトレードオフに悩むのでしょう。
     経済学では、限界的な部分が非常に重要となります。例えば、定時間内で終了する場合は、1個追加しても
     材料費のみ追加費用が発生するが、残業となると材料費+残業代となります。1個追加するのに必要な費用を
     限界費用と言います。ところが、会計学では費用は平均され、残業代は全ての製品に付加されてしまいます。
     この違いは意志決定に重大な影響を及ぼします。
 (4)人々はさまざまなインセンティブ(誘因)に反応する。
     意志決定にあたっては、様々な行動の費用と便益を比較する必要があります。費用や便益が変われば人々の
     行動も変化する可能性があるはずです。つまり、インセンティブ(誘因)に反応することになります。
     例えば、高速代金を無料にした場合、人々は車での移動にシフトするでしょう。その場合、二酸化炭素や排気
     ガスの排出増加により、人々に悪影響を及ぼします。
     インセンティブの変化で、どの様な影響が発生するのか予測し、対応策を予め実施しておく必要があります。
 (5)交易(取引)はすべての人々をより豊かにする。
     国と国との交易はもちろん、国内でも取引によりそれぞれの強みを活かすことで便益を得ているのです。
     この考え方は、組織内でも通じるものがあります。組織内ではそれぞれの構成員が何を担当すべきか割り当て
     る必要があります。問題は、一番強みのある人材が担当するのでは無い事です。判断の方法として、リカード
     の比較優位説
があります。絶対的な強みの評価でなく、比較による強みの評価で、誰が何を担当するのか決め
     なければなりません。
 (6)通常、市場は経済活動を組織する良策である。
     市場経済については、200年以上前に発表されたアダム・スミスの「国富論」の「見えざる手」により、
     市場において最良の方向に導かれていると説明することで十分でしょう。ただし、市場への参加者は、利己心
     に満ちていることを忘れてはいけません。
 (7)政府は市場のもたらす成果を改善できることもある。
     最近、グローバルなIT企業への外圧が有りますが、経済学では「市場の失敗」で説明されます。「市場の
     失敗」とは、外部性、市場支配力が原因とされます。外部性とは、環境汚染が例としてあげられます。市場支
     配力
については、独占企業が例としてあげられます。独占企業が市場を支配することで、自由競争が妨げら
     れ、ますます市場を支配してしまう危惧がります。市場の失敗については、政府の関与が必要です。また、公
     共物、警察、消防、福祉等も市場は機能しないため、政府による保護が必要となります。
     ※市場が成立するのは、完全競争市場が前提となります。
 (8)一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している。
     生産能力とは生産性を示し、生産性とは、1人の労働者が1時間当たりに生産する財・サービスの量です。
     国の幸福度を測る指標は、GDPが主流なのはその為です。ブータンは国民総幸福(GNH)を提唱しているが
     少意見と認識しています。
 (9)政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する。
     物価の上昇とはインフレーションの事を示します。大幅で持続的なインフレーションは、政府が貨幣供給量を
     大幅に増やしたことにより、貨幣の価値が下落したことにより発生しています。
 (10)社会は、インフレ率と失業率の短期的トレードオフに直面している。
     政府が貨幣供給量を増やすとインフレーションが発生するが、短期的には、失業水準の低下をもたらします。
     つまり、インフレーションと失業は、短期的にトレードオフの関係にあると言えます。この関係曲線をフィ
     リップ曲線
と言います。フィリップ曲線は、景気循環を理解するのに重要であり、政策立案者は、政策手段を
     用いてインフレ率と失業率の短期的トレードオフを活用することが可能であります。

参考図書 マンキュー経済学 東洋経済新報社

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