マネジメント
組織なくして社会に貢献することは不可能であり、また、生活の糧を得るのも不可能です。 その組織に成果を上げさせるのがマネジメントであり、実行者がマネジャーであります。
1.マネジメントの役割
組織におけるマネジメントの役割には次の3つが有ります。
1)組織特有の使命を果たす。組織はそれぞれの使命が有り、マネジメントは使命を果たす必要が有ります。
2)組織のメンバーを活かす。組織が使命を果たすためには、多様なメンバーの能力を存分に発揮させる必要
が有り、マネジメントは、メンバーの能力を十分に発揮させる必要が有ります。
3)組織は、社会に貢献するとともに影響を最小限にする必要が有ります。マネジメントは組織活動が社会に
貢献させると共に組織活動に伴う影響を最小限にする必要が有ります。
2.人のマネジメント
特に中小企業においては、人が”最大の財産”であるケースが多くあります。人のマネジメントとは、従業員の
能力を最大限発揮させる事であります。
(1)人は財産か費用か
企業活動においては、組織の生産性を向上させることが重要な目標の一つです。生産性を向上させるために
は、顧客価値の向上やイノベーションが必要となり、それらは人の能力を活用する必要が有ります。
一方、従業員の雇用により、人件(労務)費の発生、価値観の違いによる従業員間の問題、営業秘密の漏洩な
どの脅威があり、これらは費用ととられます。
(2)人のマネジメント実行
人のマネジメントを実行するために下記のポイントがあります。
1)権限と責任を委譲する。
それぞれの立場に応じた権限と権限に合わせた責任を与えることで、従業員に自立心を持たせます。
2)従業員を財産ととらえる。
従業員を財産と考え、人権を理解することで信頼を得ます。
3)従業員それぞれの能力を活かす。
従業員が持つ能力を最大限活かせるように人員配置や役割分担を行います。
3.マネジャーとは
マネジメントを行うためには、マネジャーの存在が不可欠となります。しかし、職位としてのマネジャーが
必ずしも本当の意味でのマネジャーではありません。また、今日では、部下の持たない専門的な管理職も増え、
ますますマネジャーの重要性が高まっています。
(1)マネジャーとは
「組織への貢献に対して責任を持つもの」と定義されます。
専門家が持っている知識や能力を組織の貢献に結び付けることがマネジャーの最大の役割と言えます。
例 スポーツチームでは、専門家であるプレイヤーやコーチを束ねることで、マネジャーである監督が勝利と
言う貢献に対して責任を持つことになります。
(2)マネジャーの役割
1)全体最適の追究
組織においては、個々の貢献の総和が必ずしも全体の貢献に一致しません。このことを部分最適と言いま
す。組織においては、全体最適を実現するため自己犠牲を余儀なくされる場合が有ります。マネジャーの
役割として、メンバー全体のコントロールを行うことが重要となります。
2)強みを発揮させる
特に中小企業では人材が重要な経営資源となります。しかし、人には能力、感情、肉体面など欠点があり
ます。マネジャーの役割として、メンバーの欠点を解消し、能力を強みとして最大限発揮させる必要があ
ります。
3)意思決定
組織においては、あらゆる場面で意思決定が必要となります。また、組織の目標として、短期的及び長期
的な目標が有り、多くの場合は両立が難しいのが現状です。マネジャーの役割として、長期的な視野を持
ちながら短期的な目標を達成するための意思決定を行っていく必要が有ります。特に意思決定について
は、誰が正しいのか出なく、何が正しいのかを正確に判断することが求められます。
(3)マネジャーとしての業務
マネジャーと言えども、現場管理や顧客管理、データ分析などの専門的な業務が行うことも多くありますが、
共通として次の業務があります。
1)組織の目標を設定する
2)組織化する
3)メンバーに対し、動機づけとコミュニケーションを図る
4)コンフリクトを解消する
5)組織及びメンバーの貢献に対して評価を行う
6)人材を育成する
※コンフリクトとは、組織間あるは個人間に生じる葛藤を示し、感情の他に経営資源の不足、目標に対する
アプローチの考え方の違いなど様々な要因により発生します。
4.階層別マネジメントの役割
(1)トップマネジメントの役割
トップマネジメントは、組織全体の成功と存続に対して次の様な重要な役割を果たす必要があります。
1)目標の設定、戦略の作成、長期的な視野に基づいた意思決定
2)ビジョンや方針の策定
3)組織構造の設計
4)ステークホルダーとのコミュニケーション
5)存続の危機に対しての対応と責任
(2)中小企業のマネジメント
大企業は、組織階層によりそれぞれのマネジメントの役割がありますが、中小企業、特に小規模企業はトップ
が組織全てのマネジメントの役割を果たす必要が有ります。
1)市場の”特定のニーズ”を見つけ、事業を特定する
2)業務を明確にし、役割を与える
3)特定した事業に対して、経営資源を集中し、確固たる地位を築く
4)後継者、右腕を育成する
5.イノベーションマネジメント
市場環境の変化により、新たな顧客価値を生み出すことが重要です。そのためには、イノベーションを行う
必要が有ります。下記のイノベーションにおけるマネジメント能力を高める必要が有ります。
1)トップマネジメントのリーダーシップ
2)イノベーション戦略の策定
3)イノベーションプロセスの構築
4)組織や制度の再構築
参考図書 「マネジメント 基本と原則」ダイヤモンド社